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98年J1参入決定戦に敗れ涙に暮れる札幌サポを見たことで、コンサ愛に目覚めた非道民。 何の因果か札幌に居を構え、試合結果に1週間のテンションを左右される日々。 いい年こいてまだ中二病が完治していない。 思い出とコンサの試合と日常をミキサーに投げ入れて、味の素で整えた文章を提供していく。 ご笑覧いただければ幸いだ。

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勝ち点をもぎ取った梟は山頂を目指す(VS ジェフユナイテッド千葉 感想)

2016年06月07日

 札幌ドームが悲鳴に包まれた。その視線の先には苦悶の表情を浮べた背番号17が居た。5試合ぶりの先発出場は6連勝の始まったセレッソ大阪戦以来。前節で退場になってしまった深井一希と軽い肉離れを発症した宮澤裕樹が欠場したことで巡って来た先発の機会。同じく先発でのボランチ出場は久しぶりである堀米悠斗と共に、千葉のパスコースをことごとく潰していく。というより、堀米にリードを付け千葉オフェンスを狩の如く追い込んでいったという印象だ。調子が良かったがうえに起きてしまった事故だった。右膝前十字靱帯断裂、全治8ヶ月。ベテランの域に足を踏み入れてしまった稲本潤一にとってあまりにも痛すぎる怪我での離脱。前半14分という早い時間に守備の要を失ってしまったコンサドーレは、この動揺を収めるまでに授業料として痛い2失点を喫してしまうことになる。
 稲本に代わってボランチに入った上里一将。「コンディションは整えてきた。」と強がったが、「試合勘が戻らないところは修正していきたい」と反省を口にした。コンビを組んだ堀米とどちらがスペースを埋めるかといった役割分担が上手くいかず、そのスペースを使われてしまうといった点が散見された。ここを埋めていれば阿部翔平のゴラッソは防げたかもしれない。痛い授業料だったと言えよう。試合勘が戻らず、視野が狭いという印象を受けたこの日の上里。右サイドのマセードがオーバーアクションでボールを要求していたが、彼の望むタイミングでフィードが渡ることは終ぞなかった。その代わりに生き生きとサイドを抉ったのが石井謙伍だ。千葉の右SB多々良敦斗は片翼を担う阿部が攻撃の起点となる一方で、守備的な役割を果たし危ういバランスの千葉ディフェンスを支えていた。これがこの試合は裏目に出て、一気呵成に仕掛けてきた石井を止めることは出来なかった。このドリブルでの突破がコンサドーレに勢いを与え、前半のうちに内村圭宏の4試合連続ゴールで1-2として折り返す。そして待ちに待ったヘイスのゴールだ。持ち前のフィジカルの強さでボールを収め、都倉賢にシンプルにはたく。斜めに走ったヘイスはその都倉からの折り返しを受け左足を合わせた。…言いたいことは分かる。だがここは素直に、ヘイスの来日初ゴールでコンサドーレが同点に追いつく。同点に追いつかれたジェフはFWエウトンに替えてDF大久保裕樹を投入し、守備を固め引き分けでの勝ち点1を狙う。同点となった時間帯からコンサドーレがボールを保持する時間帯が増していく。カウンター合戦となったが、後半アディショナルタイム2分過ぎにコンサドーレが得たCK。福森の左足から放たれたクロスにヘイスが反応するも、枠を捉えることなく結局2-2のドローとなってしまった。
 なってしまった。と書いたが、タイトルどおり「もぎ取った勝ち点1」である。稲本の怪我での離脱に動揺はしたものの、今季初の2点差を追いついての引き分け。先制され試合の主導権を奪われたところから、見事盛り返して見せた。ここで得た勝ち点1のおかげで2位町田ゼルビアに勝ち点2差をつけることが出来た。仮でも負けることは考えたくないが、もし順位が入れ替わったとしても勝ち点差を1で追いかけることが出来る。この勝ち点1はコンサドーレにとって非常に大きな1点になった。一方2点差を追いつかれたジェフ千葉。勝ち点2を失ったと考えざるを得ない。その中で2枚目のカードとしてFWに替えDFを入れるという交代策は、私には弱気に映った。6試合無敗という結果は残したものの、内訳は2勝4分。2戦連続のアウェイ、6連勝中で首位に立つチームが相手。そう考えれば引き分けという結果は充分かもしれない。だが、2点先行しても勝てないというのはJ1昇格を目標とするチームにとって由々しき事態、ある種の格付けが成されてしまったと考えなくてはならないのではないか。「知らず知らずのうちにチームが守備的になっていくこと」これを危惧していたのは株式会社コンサドーレ社長、野々村芳和だ。果たして関塚隆監督は気付いているのだろうか。誤ったメッセージがチームに伝播していくことを。人の振り見てなんとやら。この試合を見る限り、コンサドーレの用兵術・戦術に弱気なところは見られない。稲本の長期離脱という最悪の事態が発生し、さらに最大の難関が水曜日に迫っている。松本山雅FC。目下3連勝中。得点20、失点9で3位まで順位を上げてきている。その彼らのホームに乗り込んでどこまで闘えるか。シーズン前半戦最大の山場だ。現地に飛ぶことは出来ないが、心は共にある。折必勝、コンサドーレ!


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07:06

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繰り返すこの…千葉戦展望

2016年06月04日

 24、20。この数字が何を示しているのか。勝ち点?たしかに15節終わった時点での勝ち点に見えるかもしれない。だが今回対戦する千葉の勝ち点は23であり、1点足りない。正解を述べよう。それは昨シーズンオフにジェフユナイテッド千葉が行った「血の入れ替え」である。24名退団、20名入団。もともと所属していた佐藤勇人をして「自分が移籍してきたような感覚」と言わしめたDr.関塚による大手術であった。
 だが、現時点で患者に快方の気配は見られない。関塚隆が監督に就任して3年目。2014年は鈴木淳から途中でバトンを受け、昇格プレーオフまで漕ぎ着けることが出来たが、昨シーズンは勝ちきれない試合が多く9位に沈みプレーオフ進出を逃した。そこで行った大手術。その結果が6勝4敗5分で8位。プレーオフ圏と勝ち点2差というのは、言い方は悪いが昨シーズンまでのジェフと大差は感じられない。ある種総入れ替えしてこの順位をキープしているのは監督の手腕の成せる技と評価するべきかもしれない。この5試合負けなしで着実に勝ち点を積み上げてきており、さすがは古豪ジェフユナイテッド千葉と名将関塚隆、侮ることが出来ない。
 ここで今シーズンのジェフ千葉の陣容についておさらいをしておきたい。基本布陣は4-4-2。近藤直也・イジュヨンのCBコンビが最後尾を支え、左サイドの阿部翔平・井出遥也が攻撃を牽引する。彼らのドリブル突破にボランチの長澤和輝が絡み、中盤を撹乱する。そしてフィニッシャーとして前線に構えるのがエウトン・船山貴之の強力2トップだ。阿部翔平のクロスに彼らが反応することでゴールが生まれる。現に得点の40%近くはセットプレーとクロスから生まれており、彼らの活躍無しに千葉の躍進はない。そして22%を占めるショートパスからのゴールというのも、井出・長澤といったドリブルを得意とする選手が前線を掻き回すことで生まれている。ストロングポイントをチームとして持っており、少しでも守勢に回ってしまうと試合の主導権を奪われかねない。
 ストロングポイントとウィークポイントは紙一重。前節千葉と対戦したV・ファーレン長崎は攻撃のキーマンである左サイドバックの阿部翔平からのクロスを警戒し、素早いプレスで自由を与えずに縦に速い攻撃へとつなげていた。ドリブルによる攻め上がりの機会を封じられた千葉はエウトンをターゲットに長いボールで対抗した。どちらも狙い通りの展開で1点ずつを取り合い、結果1-1の引き分けとなった。試合後、長崎の高木琢也監督は「キープして逆サイドに展開していくというトレーニングでやっていた形で得点を取れたこと。」を収穫としてあげた。また、11節で同じく1-1で引き分けたカマタマーレ讃岐の北野誠監督は試合後の会見において、選手交代の意図を問われ次のように答えている。「一番重要だったのが中盤のコネクターの部分です。永田(亮太)に代えて、綱田(大志)を入れましたが、(相手のボールが)サイドに入ってから中を固めるというところが狙い通りだった。そこで全てボールを切ることができたので、千葉は完全に中で勝負するしかなくなった。(後半は)うちがサイドを全て支配できたと感じています。」そしてこうも言っている。「後半はしっかりと狙い通りのボールの動かし方で点が取れた」と。彼らの言葉を借りれば、千葉のウィークポイントは「中盤の展開力」ということになる。
 ラストパスの出し手やパス交換などのデータから浮かび上がってくるキーマンは、左SBの阿部翔平だ。アシストこそ1と少ないものの、ラストパス供給はチームトップ。FKのキッカーも任されており、SBというポジションもあり攻守の要とも言える重要人物だ。そこを封じてしまう。パスもクロスも左サイドの阿部、井出から上がっており、そのストロングポイントを封じられたジェフが取れる戦術。それが「ロングボール」ということだったのだろう。
 前節の山口戦でもコンサドーレのストロングポイントとしてあげた「札幌山脈」。これはジェフにも勿論有効である。ロングボールを弾き、セカンドボールを素早いプレスから物にしてしまえば試合の主導権はコンサドーレのものとなるだろう。実はジェフのウィークポイントはクロスからの失点にある。全16失点中5点をクロスから、6点をセットプレーから失っている。近藤直也181cm、イジュヨン186cm。決して小柄なわけではないが、なぜか失点を重ねている。連携不足を露呈してしまっているのかもしれない。その隙を逃さないのが今のコンサドーレだ。前線の「3枚刃」が全得点のうち半分を叩き出しており、彼らにボールを運ぶことが出来れば得点のチャンスも生まれることだろう。
 やはり重要なのは試合の入り方と先制点を奪うことが出来るか、これらに尽きる。今のコンサドーレは首位であり、各チームが勝ち点を奪いにやってくる。3だろうが1だろうが勝ち点は勝ち点。あわよくば大きいほうを持って帰りたいのが人間というものだろう。そんな彼らをきっちりといなして、土産代わりの勝ち点3を奪う。目下の懸案事項はレッドカードによる出場停止で欠場深井一希にかわり宮澤裕樹とコンビを組むのが誰かということ。中盤の差が試合結果として現れる試合となりそうだ。四方田監督の悩みは尽きない。最良の結果を出すことを期待している。


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08:12

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6連勝(VSレノファ山口 感想)

2016年05月30日

 あっという間の45分だった。久しぶりに選手が目の前で躍動する姿に目を奪われ、気がついたら前半が終わっていた。面白い。今年のコンサドーレのサッカーは面白い。増川隆洋を中心としたDFラインはボランチと連携し、常にコンパクトに陣形を保っていた。そして統率する増川自身も機を見て攻め上がり、都倉かな?いや増川だ!?とグラウンダーのクロスに滑り込むシーンが見られた。某田中さんの相棒を務めていたのは伊達ではない。山口のキーマンである庄司悦大に仕事をさせず、インターセプトからショートカウンターに移れたのは彼の果たした役割も大きいだろう。
 また、この試合は山口にとって「アウェイの洗礼」を浴びせるものでもあった。羽田空港の滑走路が事故のために閉鎖された影響で、北海道への到着が試合当日となってしまうアクシデントが起きてしまったのだ。新千歳空港に到着したのが午前11時とキックオフの3時間前。長時間の移動で選手たちの疲労もあっただろう。それに重ねてこの日の札幌ドームは通常よりも芝が長めになっており、早いパスワークを身上とする山口にとって不向きなピッチコンディションとなっていた。「なかなか芝生に慣れることができなかった」と上野展裕監督も悔やむように、まさにアウェイの難しさを体感した試合となったようだ。
 戦前の予想とはことなり3-1と思わぬ大差がついたこの試合。守備面での貢献は増川だが、攻撃面ではやはりジュリーニョの果たした役割が大きい。ダメ押しとなる3点目のループシュートも見事だったが、やはり先制点につながるペナルティーエリア内でのドリブル突破は彼ならではのものだった。前線でタメを作り攻撃の起点になる。古き良き時代の10番がしばらくコンサドーレには不在だった。小野伸二を獲得したものの、怪我が続き彼をチームの中心に据える事は出来なかった。その中で彗星のように現れたのがジュリーニョだった。実績十分のヘイス、右サイドの職人マセードの影に隠れ、スキンヘッドが小野と見分けがつかねぇよと口の悪い一部サポというか自分に言われていた彼。あれよあれよという間にトップ下に定位置を獲得し、いまやコンサドーレの中盤に君臨している。遊び心溢れる独創的なテクニックと大きなサイドチェンジで相手ディフェンスを翻弄し、チャンスを生み出していく。都倉賢7点、内村圭宏5点、そしてジュリーニョ3点。チーム全ゴール20点のうち実に75%を彼ら3人で生み出している。1点しか取れないと嘆いていてもなんだかんだ20点はJ2で4位の成績であり、決して今年のコンサドーレは守り勝つだけのチームではないのだ。
 ジュリーニョの活躍について述べてきたが、早いプレスと独創的な攻撃センスを持つ外国人が攻撃を牽引するチームが前にあったなぁと記憶を辿ってはたと気がついた。2007年J1に旋風を巻き起こした柏レイソルだ。この年J1に昇格してきた柏レイソル。石崎信弘監督体制となって2年目となったこのシーズン、石崎監督らしい4-2-3-1を基本とした堅守速攻を武器に一時首位に立つなど台風の目としてJ1を席巻した。ボランチの山根巌とCBの古賀正紘を中心とした守備陣は安定しており、無失点試合は14を数え総失点36は3位タイと着実に勝ち点を積み上げていくことができた。この堅守をベースに仕掛けたショートカウンター。この攻撃陣を牽引したのが「魔術師」フランサだ。ポンテ、ベルバトフとともにレバークーゼンで「デンジャラス・トライアングル」を形成したブラジル人テクニシャンは、1TOPとしてポストプレーをこなすだけでなく、中盤に下がって惚れ惚れするようなボールタッチで相手DFを翻弄した。そこで攻撃のタメが出来ることにより、2列目以降の菅沼実・李忠成・鈴木達也らがDFラインの裏を狙って飛び出しゴールを奪うことができた。総得点こそ43点で下から数えたほうが早いが、李の10ゴールを筆頭にフランサ8、菅沼6など前線のキーマンに得点が生まれていた。
 このフランサの役割を今年のジュリーニョは果たしているのではないかと思っている。コンサドーレは近年プレスからのショートカウンターという戦術が基本になっていた。その基礎となるのが守備陣でセットプレーの守備を除けば、おおむね堅守といって差し支えない安定した陣容を誇っている。一方攻撃陣に目を転じると、ゴールハンターは居るものの、ゴール前での精度や攻撃アイディアを欠き。社長就任から3年目を迎える野々村芳和もこの問題を懸案事項として捉えており、選手の成長を促すために小野伸二や稲本潤一といった世界を知るベテランたちを獲得してきた。そして今年、ついにすべての問題にケリがついた。全員守備、全員攻撃。攻守に連動した素晴らしいチームに進化したのだ。
 唯一つだけ不安な点を上げるとすれば、怪我である。2008年の柏はフランサの怪我での離脱から成績を落としていった。天皇杯で準優勝したものの、2009年にはガラスのエースとなってしまった彼への依存度の高さから16位でJ2に降格してしまった。これからシーズンの折り返し地点、そして夏が始まる。チームとして乗り越えなければならない正念場に無傷で彼が立っているか否か。心配御無用といえるような選手の台頭が待たれる。
…長々と書いてきたが勝てばええんじゃ。勝ったから悲壮感もなく臆面もなくこんな記事が書けるんじゃ。魔術師ジュリーニョ。もっと俺らを躍らせてくれ!!アレ!ジュリーニョ!!


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06:58

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山口維新

2016年05月27日

 J2に旋風が吹き荒れている。レノファ山口という名の嵐が。14節終了時点で21得点を挙げ、すでにジェフユナイテッド千葉・セレッソ大阪という昇格候補をともに4-2というスコアで打ち負かしている。J3で猛威を振るった攻撃力、もとい爆撃力は健在なようだ。
 4-2-3-1のフォーメーションをベースに、攻撃のタクトを振るうのは4月度月間MVPに輝いた庄司悦大だ。チーム内でのパス交換ランキングでは上位10位までの全てに出し手・受け手として彼の名前が並んでいる。この絶対的な司令塔から放たれたパスに反応するのが2列目に控える3人衆だ。左から島屋八徳、福満隆貴、鳥養祐矢が虎視眈々とDFラインの裏へ飛び出すタイミングを狙っている。そして忘れてはならない男が1トップを務める中山仁斗だ。180cmの長身を活かしチームトップの5点を挙げている。だが前線にだけ目を向けていては山口の恐ろしさは分からない。侮れないのは両SB。彼らが前述のパス交換ランキングのトップ2なのだ。左の香川勇気、右の小池龍太。庄司がボールを受けた瞬間、チームの攻撃のスイッチが入りSB2人が走り出す。パスコースを作り出し、流れるようなパス交換で相手ゴールに迫る。まさに「全員攻撃」。恐ろしい戦闘マシーンを上野展裕監督は作り上げたものである。
 恐ろしいチームである。こんなチームに決定力不足のコンサドーレは勝てるんだろうか。たった1点しか取れないコンサドーレでは先制しても追いつかれてしまうじゃないかと。…悲観する必要はないんじゃないだろうか。というより普通にすれば勝てると思っている。そう考える理由は2つある。
 まず1つ目は「プレスに弱い」こと。前節0-3でV・ファーレン長崎に敗れたレノファ山口。その敗戦に関して山口DF小池龍太は「長崎さんが自分たちのサッカーに対する分析をしてきて、自分たちが掛けられたくないこと(プレス)をしてきたという印象が強いです。」と語っている。戦略家である敵将、高木琢也監督にとっては会心の勝利だったようで、「今日は山口がボールを出してくるときの動きやタイミングを考えて、対応したことがうまくはまったし、ボールを奪ってからもトレーニングでやってきたことをしっかりやってくれた。レノファのMFが下がり気味にボールを受けたときに、必ず走り出す選手がいる。そこを抑えていくとボールをとりやすい」と山口の弱点まで語ってくれた。プレーする選手が自覚しているプレスへの苦手意識。ここを衝いて勝利を収めたチームがもう1つある。第12節1-0で完封勝利を挙げたツェーゲン金沢だ。森下仁之監督は「縦のパスコースをしっかり消した中で、しっかりボールにアプローチするため、出るところは出ていく。攻撃のところも手数が掛かっていた部分があった」と語り、山口がポゼッションするときには前から厳しくプレッシャーを掛けた。ボールを奪うとアーリークロスや縦へのフィードを使い、シンプルに前線に当てて、ゴールへ迫った。興味深い点は両者とも山口と対戦した時点で最下位に沈んでいたことだ。そう、司令塔である庄司を潰してしまえばパスの出し手が居なくなり、攻撃力は半減どころか無力化されてしまう。その結果を如実に表すように、彼らが敗戦した試合は全てが無得点なのだ。
 彼らが苦手なプレッシングは今年のコンサドーレの持ち味と重なる。久しぶりのホーム札幌ドームで気の抜けたプレーは見せられないはずだ。試合開始直後から激しいプレッシングを掛け、相手陣内に押し込もうとするだろう。これは願望もあるが、根拠がないわけではない。山口のキーマンである庄司はWボランチの右に入るケースが多い。勘の良い方は気付かれたかもしれない。彼とマッチアップするのが誰なのか。そう「俺らの10番」宮澤裕樹だ。今季から主将を務める彼は、攻守両面で一皮剥けた様に思われる。絶対の自信を持ってプレーしており、キャプテンとして責任を持ってキーマンを封じてくれることだろう。
 そして2つ目。山口は「セットプレーに弱い」。21得点という攻撃力は確かに脅威だが。彼らは19失点している。そのうちセットプレーで8失点、こぼれ球を押し込まれたのが2点、計10点をセットプレー関連で失っている。これは失点の約半分を占めている。原因はおそらくCBにある。DFにとって身長が全てではないと思うが、身長もDFの才能のうちだろう。左CB北谷史孝は180cm、右CBユンシンヨンは183cm。他のフィールドプレイヤーに目を移しても170cmそこそこの選手が目立つ。そのためフィジカル力押しのチームには分が悪いだろう。だからといって前線の「電柱」にクロスを入れてゴールを狙おうとすると、そう簡単には行かない。実際19失点の割りにチームとしての守備指標はJ2トップの数値を叩き出している。これはボール支配率がリーグトップであることも関係しているが、タックル数2位・インターセプト数3位という攻撃の芽を摘む全員守備の意識の表れでもあるだろう。
 ここでコンサドーレの得点パターンを見てみよう。セットプレー・こぼれ球からの得点は5。全17得点のうち3割強を占めている。セットプレーとなれば191cmの増川隆洋を筆頭に187cmの都倉賢、182cmの宮澤裕樹など180cm前後の長身選手が並ぶ。またキッカーの福森晃斗はすでに2度直接ゴールネットを揺らしている。このような機会を増やすためにも、内村圭宏・堀米悠斗・荒野拓馬などがドリブルで敵陣深くまで抉り、ファールを誘うようなプレーを心がけなくてはならない。両サイドを押し込み、相手ゴール近くでプレーする機会が多ければ必然と得点のチャンスも増えるだろう。
 結論としては、コンサドーレとしてあえてやり方を変える必要はない。今年のチーム戦術を継続する。プレスを掛け、キーマンを潰し、素早いカウンターから試合の主導権を握る。そして先制点を取ることが出来たら、相手がバランスを崩して攻めてくるまで粘り強く対応し、その綻びをカウンターで切り裂く。この必勝パターンを継続することができれば、勝利が近づく。
 1-0で続く連勝街道に一抹の不安を覚えている方が居る。株式会社コンサドーレ社長、野々村芳和氏だ。9年ぶりの5連勝にチームの成長を感じ、心安らかな日々を過ごしている野々村社長だが、苦言を呈するのも忘れていなかった。何を危惧しているのか。それは「知らず知らずのうちにチームが守備的になっていくこと」。この「知らず知らず」というのが問題らしい。先制点を挙げているうちはいいが、得点が産まれなくなると昨年のような引き分け地獄に陥ってしまう可能性がある。攻撃におけるリスク回避が先にたち、パススピードが落ち足元で貰う選手が増えることで運動量が落ちていく。この段階に無意識で踏み込んでしまえば抜け出すのは容易なことではない。こうならないために、チームに一番近い部外者として提言しているんだと社長は語っていた。
 1-0というスコアは美しい。先制点を奪い、勝利を目指して攻めに掛かる相手チームをいなして完封する。追いつかれるかもしれないスリルがあり、最後まで目を離すことができない。だが、3-0というスコアも良いものだ。なにより心臓に優しい。そして3度もゴールシーンで喜ぶことが出来る。しかも完封勝利だ。完膚なきまでに相手を打ち倒した勝利といえよう。先制点を取っただけで満足しているとは思わない。常に追加点を奪うんだという意識を持ってプレーしてもらいたい。なんであれ、まずは勝つこと。おそらく心臓に悪い試合になるだろうから、皆様気を強く持ってドームに集うとしようじゃないか。


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07:11

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撃てば入る(VSカマタマーレ讃岐 感想)

2016年05月24日

 「撃てば入る!」かつてこう豪語した男がいた。あの日、昇格を決めた喜びそのままに道内TV各局を行脚した札幌イレブン。昇格を決定付ける2ゴールを決めた背番号13番は、初めてのビール掛けに目元がトロンとなりながらも言い切った。「撃てば入る」と。その男の名は内村圭宏。6戦4発。エースの帰還だ。
 過去4戦未勝利だった「鬼門」讃岐戦。試合立ち上がり早々、高木和正のFKからゴール前フリーになったエブソンに狙い澄ましたクロスが上がる。これはエブソンが上手くミートし切れず枠を大きく外れたものの、あわやというシーンを作られてしまった。ファーサイドでエブソンをマークしていた宮澤裕樹が、外に流れてきた永田亮太に釣られてしまい、スルッと抜け出したエブソンにボールが渡ってしまった。昨シーズンはセットプレイからの失点が多かったので、今後も「兜の緒を締めよ」ではないが、しっかりと反省すべき点は反省してもらいたい。
 なぜこのシーンを細かく上げて反省を促したか。開始3分という一番集中していなければならない時間という点もあるが、…この場面以外特に危ない所がなかったからだ。確かに後半は風下に立ち、サイドを抉られゴール前の混戦からシュートを撃たれるシーンもあった。とはいえ讃岐の枠内シュートは試合を通して1本のみ。「J1はこんなもんじゃなく一瞬の隙が命取りになる!相手に助けられた。今回も運良く勝てただけ。」このような意見も勿論あってしかるべきだ。
 だが、先取点はコンサドーレに入った。綿密なスカウティングを活かし、それをプレーとして実現して得たゴールという結果。これはチームの成長以外何物でもない。飛行機を乗り継ぎ、気温28℃湿度40%というアウェイの地。このタフなコンディションの中、ジュリーニョの創造性溢れるパスワークを活かしワンタッチでボールを繋いでいく。宮澤のワンツーや都倉賢の反転からシュートは精度こそ欠いたが、ゴールの匂いを感じさせる見ごたえのある崩しだった。そして産まれた内村のゴール。これはどうすることも出来ない、非の打ち所のないゴール。讃岐GK清水健太は不運だったとしか言いようがない。
 「後半はボールを動かしながら無理はしない、しかし2点目を取りに行こうと入った。」と四方田修平監督は安全運転に終始した。小野伸二やヘイスといった攻撃的な選手を投入したが、より攻撃的にいくのならば交代の順番は逆だっただろう。分かりやすいメッセージはヘイスという「ストライカー」を投入した上で、小野伸二という「プレーメイカー」を中心に「攻撃のギアを上げる」。ただ、ヘイスのプレス技術に関して不安が残るため、バランスを意識した上で小野の投入を先にしたのだろう。あくまでも素人考えなので、当たるも八卦なところで聞き流していただいてかまわない。
 「竜二さんが入って引っ張ってくれたので、移動の疲れがある中、踏ん張れた。」とは3バックの中心となり獅子奮迅の活躍をしている増川隆洋の弁だ。後半34分、堀米悠斗に替え河合竜二が投入されたことでチームの意思は統一された。前節とは違う「この試合勝つぞ」という強烈なメッセージだった。アディショナルタイムを含めた残り15分。足を止めることなく「最後はよく体を張って頑張ってくれた。」
 9年ぶりの5連勝。すべて1-0での勝利だ。宮澤キャプテンはこの連勝に手ごたえを感じており、「勝ち癖がついている。しっかり点を決めきって守り抜ける。攻守の切り替えもよく、球際も100%の力で戦えているので負ける気がしない」と口も滑らかだ。追加点が取れないのが課題と見えるが、試合の主導権を奪い完封勝利を続けていることは素直に評価するべきだろう。1試合少ないながらも2位ファジアーノ岡山に勝ち点4差をつけての首位に立っているのだ。先はまだまだ長い。油断はできないが、更なる成長を遂げたコンサドーレの姿を楽しみに今シーズン共に走って行きたい。


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07:03

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釜玉~レ讃岐

2016年05月21日

 名前のインパクトが強い。というより出落ち気味だった。このTHE☆うどん県な名称に香川紫雲フットボールクラブからサンライフフットボールクラブを経て、現在の名称に改称されて早10年。こんな名前のチームがあるんだと微笑ましい気持ちで見ていられたのも束の間だった。2敗2分。死の国と書いて四国。J2昇格から3年足らずでコンサドーレの天敵になりおおせてしまった。智将北野誠体制は7年目を迎え、より円熟味を増している。この天敵に対し、四方田監督は「試合によって陣形が変わるつかみどころのないチーム」と評し、更にキーマンとして木島徹也、高木和正の名前を挙げ、前線の選手を働かせないようにしたいと意気込んだ。
 「つかみどころのないチーム」。4-1-4-1、4-4-2、4-2-3-1と3つのフォーメーションを駆使し、手堅く勝ち点を積み重ね現在4勝4敗5分で12位に付けている。「立ち上がりの早い時間帯に失点しないのが大事。ブロックを組んで、最後は体を張って守る。」と北野監督が述べるとおり、まず守備から入る。エブソン、藤井航大のCBコンビを中心にゾーン気味に4バックを形成。そしてボランチの岡村和哉がボールを奪い高木和正を経由し前線に鋭いカウンターを仕掛ける。また左サイドに攻撃の比重を置き、SBの西弘則とSHの馬場賢治が敵陣を抉り、待ち構える仲間隼斗や良輔・徹也の木島ブラザーズにラストパスを供給する。とはいえキーマンは高木和正だろう。ゴールこそないもののアシストは5と2位タイ、ラストパスも24を数え司令塔として中盤に君臨している。FKも任されており、チームのゴール15点のうちセットプレーからのゴールは5と重要な得点源となっている。粘り強くコシのある「カマナチオ」を展開し、蜂の一刺しを狙う非常にやりづらいチームだ。
 とはいえ弱点は勿論ある。現在6試合勝ちなしと勝利の女神に見放されており、先制した試合も清水エスパルス戦の1試合のみ。だが「蜂の一刺し」でどうにか引き分けに持ち込んでいるというのが現状だ。「守備から入る」あまり、前半に相手に押し込まれると失地回復が覚束無いのだ。ロングボールを蹴ろうにも、ターゲットになりうる我那覇和樹は怪我明けで限定的な起用が続いている。そのため自陣深いところからドリブルを仕掛けてサイドに散らすという非常にリスキーな選択を取らざるを得なくなっている。中途半端なカウンターが最悪の結果を招くことは皆様の骨の髄まで染み込んでいることと思うので理由は割愛する。つまり、リアクションサッカーの限界に直面しているというのが讃岐の現状だ。また頼みの綱となっている守備の面にも不安が残る。クロスボールへの対応だ。クロスボールからの失点は6と全体の約4割を占める。この数字はツェーゲン金沢と並びJ2ワーストタイだ。ゾーン気味に守る4バックのギャップを衝かれたり、単純に競り負けたりと少しずつではあるが綻びが見えている。
 対するコンサドーレはクロスからの得点は4。またセットプレーからは直接も含めて4と全得点のうち8点をクロスまたはセットプレーから挙げている。そう、この点から言えばコンサドーレは讃岐の「天敵」となっている。スタメンに復帰するジュリーニョ、5戦3ゴールと絶好調の内村圭宏・フィジカルモンスター都倉賢の強力FW陣に加え、恥骨骨折から復帰しリオ五輪に向けて必死のアピールを続ける荒野拓馬や堀米悠斗がサイドから讃岐ディフェンスを切り裂く。前半からゴール前に釘付けにしてしまえば先ほどから述べているように、カマナチオの綻びを噛み切ってやればいいだけだ。先制点をコンサドーレが挙げることができれば、ひょっとすると思わぬ大差がつく可能性もある。
 だが侮れないのが四国という地。明日の丸亀市の天候は晴れ時々曇り。最高気温26℃。湿度は75%。纏わり付くような暑さが選手の体力を奪うだろう。札幌も最近暑くなってきたとはいえ、向こうの暑さは質が異なる。それゆえ、課題とされていた後半での追加点。これが鍵を握る。内村というジョーカーをスタートから起用するため、新たなジョーカーの出現が望まれる。上原慎也の意外性にも賭けたいが、彼の投入はおそらくサイドからの組み立てを再構築するという意図で選手達に伝わってしまう恐れがある。それゆえ、ヘイスの爆発が待たれる。彼の投入が追加点奪取へのメッセージだ。
 可能ならば前半で試合を決めてもらいたいが、試合は水物。誰も予想できないことが起きるのがサッカーだ。楽な試合などひとつもない。首位確保のためどのようなゲームを展開するのか。更なる成長を感じさせる試合を期待したい。


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17:53

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最奪首!(水戸ホーリーホック戦 感想)

2016年05月18日

 まさに会心の勝利だろう。試合後の四方田修平監督の口は滑らかだった。「勢いのあるチームとの対戦でハードな戦いになると予想していた。前がかりに来る相手を凌ぎ、前半から怖がることなくチャンスを作ることが出来た。後半も押し込み続けこう対戦選手もいい働きをした。」このようにゲームプラン通りに試合を進めることができたことに満足げだった。その上で、「これまでの1-0とは違う成長を感じた。」と手ごたえも口にしていた。
 これまでとは違う「成長」とはどの部分に見ることが出来たのだろうか?ヒントになると思われるのは次の質問、「4連勝を監督はどのように捉えているのか?」これに対し四方田監督は、「それぞれ内容が違うので一概に言えないが、チームで一丸となって高い守備意識を保ち、気持ちのところでも一つにまとまっていることが結果として顕れたのだと思う。」と答えている。各選手がコメントの中で「ハードワークする」という意気込みを述べているので、前節からの成長という点には当たらないだろう。ではどこが・・・。おそらく「気持ちのところ」。精神論に近くはなってしまうが、ここで内村圭宏の決勝点をアシストした堀米悠斗の試合後コメントを引用しよう。「伸二さんが入って、ちゃんと勝つんだというのが伝わってきてスイッチが入った。」
 意図のない選手交代はない。ピッチに残る10名はこの意図を読み取り、プレーとして具現化しなければならない。ハーフタイムのミーティングでベンチからの指示は無論あっただろう。だが、アウェイの地。無理に攻めにいった結果失うかもしれない勝ち点1。他チームの勝敗によってはプレーオフ圏争いの泥沼に片足を突っ込みかねない状況。着実に勝ち点を積み上げるという選択肢を選ぶ選手も出てくるだろう。この迷ってしまう時間帯。この流れを内村圭宏、小野伸二という交代策を用い、チームの意思統一を図った。送ったメッセージは唯一つ、「この試合勝ちに行く」。
 内村の投入だけでは、この意図は伝わり切らなかっただろう。疲れた水戸DFラインの裏を取り、ラインを押し下げる。勝ち点を確保するという目的しか伝わらなかったと思われる。そこでボランチ深井一希に替えて、小野伸二を投入する。これで四方田監督のメッセージは明確になり、内村がDFラインを押し込んで生まれたスペースを小野が活用しタメを作ることで攻撃の起点となった。その結果生まれた決勝点。監督の意図を読み取り、守りきるだけではなく泣き所となっていた後半での得点を奪い再び首位に立って見せた。これが成長の証だ。
 殊勲の内村は言う。「去年はいい流れからでも、いきなり失速した。」勝って兜の緒を締めよ。油断は禁物である。腰に不安を抱える彼がジョーカーとして機能している現状は、故障離脱のリスクを減らすという面から考えるならば、ある程度満足のいくものとなっている。だが、やはり内村は90分プレーすることで進化を発揮する選手だと思う。コンサドーレの真の泣き所。後半の得点不足、追加点不足は先発メンバーにおける内村の穴を埋める存在の有無。これに尽きるのではないだろうか。この試合は前節から4人変更して臨み、4連勝という最高の結果を残すことが出来た。誰が出ても同じチームパフォーマンスを発揮する。今年のコンサドーレは層の厚い良いチームになりつつある。そのなかで誰がゴールゲッターとして台頭してくるのか。その切磋拓馬、もとい琢磨こそがJ1昇格への原動力になる。私はそう信じている。


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06:47

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2粘勝(徳島ヴォルティス戦 感想)

2016年05月01日

 まさに粘りがちだ。8:7、これはコンサドーレと徳島のシュート数比較だ。事前の予想通り中盤におけるボールの奪い合いとなったこの試合。前半20分に生まれた内村圭宏の「らしい」ゴールで先制し、主導権を持ったままいい形で前半を終えることが出来た。「相手の裏を意識することで、背後を取れていたところと、相手が下がったときにボールを動かしてサイドから崩すというところに関しては非常に良い形が作れていたと思いますし、そこから得点が生まれたのも大きかったと思います。」と四方田修平監督もゲームプランどおりに進めたことに関して手ごたえを持っていた。
 しかし後半徐々に押し込まれる場面が増えていく。徳島のキーマンとなったのが藤原 広太朗と交代で入ったキムキョンジュンだ。前節まで出場2試合、プレー時間も7分・5分と決して多くない。そんな彼が今まで機能不全を起こしていた徳島オフェンスを牽引していく。スペースへ抜ける動きを繰り返し、対応するコンサドーレDF陣のスタミナをボディーブローのように削っていく。「思っていた以上に相手が攻撃的に、前からボールを奪いにきたり、攻撃の場面でも工夫しながらボールを動かしてきて、予想した以上にお互いが攻め合うような展開になったと思います。」「後半はある程度守備のところをしっかりやって、自分たちから奪いに行くということをやりながら追加点を狙っていこうと話して入ったのですが、途中から少し消耗が激しくなり、攻める時間が少なくなって押し込まれてしまいました。」と四方田監督も反省を口にした。消耗という点を目に見える形で示したのが後半32分の福森晃斗の途中交代だ。セットプレーのキーマンは無念、足の痙攣でゲームを後にした。ここで四方田監督は櫛引一紀を投入し、1点を守りきるという選択を取った。荒野拓馬、上原慎也と追加点を狙う交代策を取っていたものの、本調子でない荒野が徳島ディフェンスを押し込むことが出来ず守勢に回る一因となってしまった。言い方は悪いが怪我の功名とも言えるタイミングでの交代となった。後半シュート1本と追加点が取れなかったことは反省材料であるが、しっかりと勝ち点3を奪った。この勝利はチームの成長の証と捉える事が出来るだろう。
 「強きを挫き、弱きを助く」。近年のコンサドーレはこう揶揄されるような試合結果が多かった。特に下部リーグからの昇格組に弱かった。初顔合わせとなると、J2の戦いに慣れていない彼らに一息吐かせ自信を与えてしまう体たらくであった。また、ここで勝てば昇格圏であるとか首位浮上を賭けてといった試合にも弱く、勝負弱さも散見されていた。選手たちも自覚があるらしく、徳島戦の前には「この試合に勝たなければ前節セレッソ大阪に勝った意味がなくなってしまう」とモチベーション高く試合に臨んでいたようだ。その試合を勝ち切り、コンサドーレは自動昇格圏の2位に浮上した。とはいえ勝ち点1の差で3チームがひしめき合っており、油断は禁物だ。
 次節は中3日でアウェイに乗り込んでのツェーゲン金沢戦。昨季は首位に立つなど旋風を巻き起こした金沢だったが、今季は不振に喘いでいる。ロアッソ熊本戦が九州を襲った震災の影響で1試合少ないものの、10節終えて7敗2分といまだ勝利はない。今節の清水エスパルスにも1-4と「完敗」を喫している。とはいえ侮れない相手であることは間違いない。注意しなければならないことは2点。モンテディオ山形戦同様に先制点を与えないこと。そして古田寛幸を自由にさせないことだ。石井謙伍が愛媛FCに所属していた時、彼には何度も「恩返し弾」を喰らっていた。お得意様を作らせないためにも、最初の対戦で「一発カマす」くらいのことをしておかなければならない。
短い試合間隔、遠いアウェイの地、そして勝利に飢えているホームチームと悪条件が重なっている。非常に難しい試合になるだろう。勝ち点3を狙うのか、それとも勝ち点1でも良いから持ち帰るのか。中途半端なゲームプランでは逆にしてやられてしまいかねない。この試合もまた首位の座を目指す挑戦となる1戦だ。ぜひともこの壁を乗り越えてもらいたいものだ。
 最後になるが、内村圭宏は今回のゴールでコンサドーレ所属となって節目の50点目を挙げた。絶えずDFの背後を狙い続け、献身的なチェイシングを続けるその姿勢は、まさに北海道コンサドーレ札幌を体現する選手といって過言ではない。「長くいるから多いのは普通。外したのを決めてたら100点ぐらい取れていていい。外した分これから取り返す」と彼は謙遜しながらコメントをしていた。ぜひ金沢戦から「取り返す」ゴールの1点目を奪って欲しい。最高のGWを送ろうじゃないか!



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10:22

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徳重、、、徳島ヴォルティス

2016年04月29日

 シュート1本で1-0勝利。ある意味究極の省エネで前節勝利を勝ち取った徳島ヴォルティス。名将小林伸二(現.清水エスパルス監督)の副官として2度の昇格を勝ち取った長島裕明を監督に据え、ある種の継続性を持ってシーズンに臨んだ。もののだ。9節終わって2勝5敗2分の17位。開幕ダッシュに成功したとは言いがたく、また1試合平均8.7本のシュート本数は12.7本というJ2平均に対しても少なく、J2全22チーム中最下位だ。チャンス構築率としても同じく22位と低迷しており、攻撃におけるストロングポイント不在という苦しいシーズンとなっている。その中で守備は光るものがあり、タックルでは2位、クリアは1位、インターセプトは5位と高い数値をたたき出している。一方で前述どおりチャンス構築率は最下位、30mライン進入回数は21位と攻撃回数が4位の割りに上手くカウンターが機能していないという問題点が見えてきている。''
 ここにきて調子を上げ2試合連続スタメンが予想されている堀米悠斗は「相手は真ん中に人数をかけてくる。サイドからいかに崩せるかが勝負」「2次、3次攻撃ができるようにボールを取られても、取り返せるようにやっていきたい」と攻撃のスイッチになるような動きが出来ればと意気込みを語っている。9試合も戦えばチームの基礎戦術というものもある程度固まってきている。今年のコンサドーレは、硬い中盤で相手のカウンターを受け止め、奪ったボールを裏へと蹴りこみ「鋭利」なカウンターを志向している。サイドの福森晃斗・マセードの両翼が機能しジュリーニョがアクセントを加える。そして都倉賢・内村圭宏の強力2トップがゴールを叩き込む。これが今後の基本戦術となっていくだろう。プレーする3人も攻撃の軸になることは重々承知のようで、内村は「3人で柔軟性を持って戦う。距離感を近くして、自分のパフォーマンスを発揮したい」 「(徳島は)引いてきたら(崩すのは)難しくなる。動き続けられるだけ動き続けて、最後に決められれば」とコンサドーレでの50ゴール目へ向けてやる気満々。他方都倉も、「押し込んでいる状態なら3人の良さは出る。特長を引き出し合っているし、距離感がいい」「自分のゴールがなくてもチームが勝てているのが救い。苦しい時に自分も取れれば。欲は常に持っている」単なるターゲットマンで終わる気はさらさらないようだ。
 これにアクセントを加える選手の有無が、昇格を左右する。後半苦しい時間帯に多彩なプレーで疲弊した相手を掻き回しゴールを奪うスーパーサブも勿論必要だが、ここはボランチに期待したい。そう、俺らの10番、宮澤裕樹である。「今季はまだなんで、早く点を取りたい」と徳島戦に向けてゴールに飢えた発言をしている。やはり前節の稲本潤一のゴールに影響を受けているようだ。ボランチの仕事は、しばしば己の仕事に忠実なあまりギャップを生んでしまう攻撃陣と守備陣のバランスを取ること。そして「このボールを攻撃につなげるぞ」と意思を持ったパスを供給し、攻撃のスイッチを入れる。このバランスが難しく、ともすれば弱気と形容されてしまいかねない。そこでリスクを負い前に出て攻撃のバリエーションに自らを加えていく。その結果産まれたのが稲本の今季初ゴールだった。
 攻守のメリハリ。このタイミングの妙を教えてくれるのが、稲本潤一であり小野伸二である。彼らのプレーをチームメイトとして体験できることは得がたい経験であるといえる。存分に彼らに使われ、そして使うことでプレーの引き出しは増えていくことだろう。野々村社長が実績充分なベテラン2人に期待していたことだ。ベテランと若手の融合。目に見えないころでのチームとしてのレベルアップ。この化学反応が起きると昇格は手の届くところまでやってくるだろう。
 外はあいにくの天気で、開き始めた桜の花もまた萎んでしまいそうだ。コンサドーレも町田や大阪の試合結果次第で首位に立つ可能性が芽生え始めている。今年のチームは強いんだと一足先に大輪の花を咲かせてくれるような試合を期待している。会場の熱気と外気の冷たさのギャップに風邪など引かれないよう、各自注意されたい。さぁ皆さん準備はいいか?コンサの春はもうすぐそこまで来ている。


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08:44

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稲本劇場

2016年04月27日

 この記事を書くPCの横の壁にはカレンダーが掛かっている。同じ部屋で毎朝着替えもするのだが、そのカレンダーを見るたびに顔がにやけてしまう。2016年北海道コンサドーレ札幌オフィシャルカレンダー。3・4月で大きく特集されている選手がいる。背番号17、稲本潤一。6勝2分、今季無敗の首位セレッソ大阪を相手に移籍後初ゴールを叩き込み、コンサドーレは3位に浮上した。
 2試合連続で後半交代出場した選手がゴールを挙げた。未勝利相手と無敗相手と両極端ではあるが得点を挙げることが困難な状況で結果を残した。前節の山形戦。今季初先発が予想された内村圭宏は結局ベンチスタートとなった。四方田修平監督としては彼にジョーカーとしての役割を期待し、岡山戦であわや初ゴールかと思わせるような輝きを放った菅大輝を先発で送り出した。結果不運ともいえるゴールで山形に先制を許し、満を持して内村を投入し最善ともいえるような結果を勝ち取った。そして迎える首位セレッソとの対決。監督はどんな判断を下すのか。この判断が勝利への分水嶺だった。
 ふたを開けてみれば都倉賢・内村圭宏の2トップにトップ下ジュリーニョという布陣で臨んだ。この決断を後押ししたのが荒野拓馬の復帰だ。まだ本調子ではないとはいえ、交代でピッチに入ればその突破力と決定力は相手チームの脅威になる。なにより彼の持ち味をチームメイトも理解しているので、選手交代で監督が意図するところが選手たちに伝わりやすい。稲本がゴールを決めたことで3枚目の交代カードは小野伸二から櫛引一紀になってしまったが、荒野がピッチで躍動する日も遠くはないだろう。
 ボール支配率で45.2%:54.8%とセレッソに大きく水を空けられたにもかかわらず、シュート数がほぼ互角の15:18で終わることが出来た要因はジュリーニョに尽きるだろう。懐が深いプレーと独特なリズムを持ったドリブル、そしてそこが見えているのかと唸らせるサイドチェンジ。シュートが中々入らないのはご愛嬌だが、間違いなくコンサドーレの攻撃の中心は彼が担っている。
 だが、シーズンが後半に進むにしたがってキーマンは対策を講じられていく。より高いレベルのチームへ、混戦を抜け出しJ1昇格を勝ち取るためには攻撃のスイッチを入れる選手がもっと必要だ。というより、よりゴールを挙げるんだというチームの統一意識が必要だ。まだまだサイド攻撃は改善の余地がある。ここにサポートへ入る選手を増やし、分厚い攻撃を組み立てることが出来れば胃が痛くなるような試合は減るはずだ。
 足首の怪我で途中交代した深井一希の具合は心配だが、今のコンサドーレは誰が入っても一定のクオリティは維持されている。「維持」から「進化」へ。このチャンスにどんなアピールを見せてくれるのか。不安半分期待半分。楽しいシーズンは続いていく。


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06:55

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価値ある勝ち点1(モンテディオ山形戦感想)

2016年04月20日

 「試合としては先取点を取られたことで苦しい入り方になってしまったというところは反省したいと思います。」この言葉に尽きる試合だったと思う。試合後の四方田修平監督のコメントだ。前節とメンバーの変更は特になく、予想された内村圭宏のスタメンは見送られた。とはいえ入りは悪くなく、15分までのボール支配率は山形51.8%に対しコンサドーレ48.2%とほぼ五分。シュート数も山形3本に対しコンサドーレ2本と大差はなかった。
 だが、1つのプレーが大きく試合の流れを変えることになる。前半10分過ぎ、右サイドでの山形のスローインからパスカットに入った福森晃斗のプレー。無理をする場面でもなかったと思われるが、パスカットにスライディングで対応してしまう。周囲を見渡し、カバーが入ることを予期してスライディングで奪いに行ったのだが、触ったボールがディエゴにつながりガラ空きの右サイドへつながれてしまう。これを伊藤俊がゴール前にクロスを送り結果的に汰木康也のプロ初ゴールを生むことになった。福森だけのせいではなく、複合的なミスが重なった結果の先制点。だが勝利に飢えている山形相手に与えてしまうには、あまりに大きな1点であった。
 その後、雷雨での中断を挟みながら重苦しい展開が続く。コンサドーレは劣勢を跳ね返すために積極的に選手交代を行い、徐々に山形を押し込んでいく。歓喜の瞬間は後半14分。ジュリーニョの縦パスに抜け出した都倉賢が右サイド深い位置からクロスを入れると、左から猛然と駆け上がってきた内村圭宏がDFの隙間からゴール前に進入。滑り込みながら右足で押し込んだ。内村の今季初ゴールと途中出場選手の今季初ゴールという用兵の妙を示したナイスゴールだった。その後は攻撃の形が見いだせず、同点のままタイムアップ。勝ち点1を分け合い、山形は暫定ながら最下位を脱出しコンサドーレは4位とプレーオフ圏内をキープした。
 ここで注目したいのは内村圭宏の起用だ。なぜ彼をスタメンで起用「できなかった」のか。「できなかった」としたところがキーポイントだ。この試合サブに入ったのはGK金山隼樹、DF上原慎也、MF河合竜二、稲本潤一、堀米悠斗、小野伸二、FW内村圭宏の7名。河合、稲本は逃げ切る際に起用が予想されるいわば「クローザー」だ。「中盤の運動量を増やしたい」場合は堀米。「サイドの活性化とロングスローという飛び道具を期待」して上原。「独創性溢れるパスワークで攻撃を活性化させる」なら小野。そして「裏への抜け出しや得点を期待」して内村。交代することでピッチの選手に与えるメッセージはこのようなものだと思われる。内村が担う「得点を期待」。この役割を担える「スーパーサブ」が彼以外見当たらないのだ。期待されて加入した新外国人ヘイスは調子が上がっていない上に、連携不足で是が非でも追いつきたい場合にはリスクが大きすぎる。神田や中原といった若手ドングリーズは単純に実力が不足している。この流れを変える力を持つ選手が内村圭宏を除いて現状見当たらないために、今回彼はスタメンを外れたのではないか。私はこのように考えている。
 だが、次節はそうも言っていられない。相手は今季無敗。6勝2分、勝ち点20。首位セレッソ大阪。ザルッソと揶揄された守備陣は4失点と、堅守速攻をモットーとする大熊清監督の元で目覚しい改善が見られている。その上で言うまでもない豪華絢爛破壊力抜群の攻撃陣。彼らを出し抜くならば先制点。是が非でも先制点を挙げること。1点でも先行してしまえば、こちらはホームだ。挑戦者の立場であるから、なりふり構わぬ勝利への執念は好意的に見てもらえるだろう。そのためには後半見せたジュリーニョ・都倉・内村のコンビネーションが必要だ。だが、後半流れを変えたい場合に難儀する未来も見えている。どちらのリスクを取るか。四方田監督はどちらを選ぶのか。恐ろしくも楽しみな週末はもうすぐだ。


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00:01

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VSモンテディオ山形

2016年04月17日

 狂った歯車が元に戻っていない。今シーズンのモンテディオ山形に対する印象はこのようなものだ。J1昇格プレーオフでの劇的な勝利から2年。厚いJ1の壁に弾き返されてあえなく降格となってしまった彼らだが、心機一転もう一度J1という目標に向けて走り出したと思ったのだが…。チームに多大な貢献をしたと思われる社長の更迭や主力選手の怪我での長期離脱など複合的な原因を受け、第7節終了時で5敗2分と最下位に低迷している。J1でも猛威を振るったディエゴや「点取り屋」大黒将志など戦力は整っている。また「智将」石崎信弘監督が指揮を継続しており、戦術の継続性から見ても侮れないチームのはずだった。
 簡単に山形の現状を不利化って見たいと思う。前節までの山形は左右へのパスが少なく、前に前に蹴りこんでいくスタイルだった。参考にしているFootball LABのデータを引用すると攻撃回数はJ2最多、アタッキングサードとも呼ばれる30mライン進入回数でもリーグ平均値に近い9位に位置している。なのだが、シュートは平均10.4本と19位、枠内シュートは3.6本と15位となっている。つまり効果的な攻撃になっておらず、かえってカウンターを受けてしまい、被攻撃回数では22位、被攻撃成功率でも21位と山形の泥沼の深さを窺い知る事が出来る。
 だが石崎監督も手をこまねいているわけではない。フォーメーションを3―4―3から4―2―3―1へ変更。ドリブルが持ち味のMF伊東俊とMF汰木康也を左右両翼に据え、石崎サッカーの真骨頂とも言えるサイド攻撃に本腰を入れてくる模様だ。なりふり構っている場合ではないようで、ディエゴ、大黒を先発出場させゴールを何が何でもゴールネットを揺らしてやろうと意気込みが見える。
 では対する北海道コンサドーレ札幌としてはどうするべきか。「相手の圧力に屈しない」これが肝要だ。フィジカルで押すディエゴ。90分間虎視眈々とゴールネットを見据える大黒。彼らにボールを渡さない。そのためには中盤の攻防が鍵を握る。町田ゼルビア戦の反省を活かし、中盤での運動量とボール奪取を心がけ、前線で待ち構える都倉賢、今季初先発が予想される内村圭宏へシンプルに運ぶ。コンサドーレの2トップはそれぞれ裏への抜け出しに定評がある。彼の活躍でDFラインを押し下げることが出来れば、連動する中盤もじりじりと下がらざるを得なくなり、ゴールに飢えている山形2トップとの間に大きなギャップが生まれるだろう。そうなれば山形はロングボールの放り込みに頼らざるを得なくなり、191cmの増川隆洋を中心に長身の選手が並ぶ札幌山脈の餌食となるだろう。大黒に対するマークの受け渡しにミスが起こらなければ無失点で切り抜けられると思う。
 勝利への近道は先制点だ。山形が先制点を挙げれば今季初勝利を目指し、がちがちにゴールに鍵をかけてしまうだろう。そうなれば町田戦の二の舞だ。札幌が先制することが出来れば、最悪勝ち点1は拾うことができると思う。チームとしてのストロングポイントが構築できていない山形は焦りから攻守のバランスを崩し、そこを衝けば追加点を奪うことは容易だろう。
 「最初から飛ばしていく。一番大事なのは点を取ること」と語ったのは内村圭宏だ。相手の順位や成績は関係ない。冷静に相手と対峙し、最高の結果を導く。石崎監督に引導を渡すような最高の結果を期待している。今年こそ「ホントに」行くぞJ1!コンサドーレ!


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09:14

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ホーム連勝(岡山戦感想)

2016年04月12日

 「ラストプレイだぞ!!」思わず声が出てしまった。66分。僕の目の前を38番が駆け上がっていく。初スタメンのプレッシャーに、そのスタミナはじりじりと削られ足は攣る寸前だったろう。にもかかわらず彼は更にスピードに乗り1対1の局面を作っていく。そして相手DFを振り切り右足を振り抜いた。クロスバーを直撃したボールは無情にもゴールネットを揺らすことはなかった。
 彼の名は菅大輝。コンサドーレ史上最年少となる17歳6カ月30日で先発出場した高校生Jリーガーだ。前節の町田ゼルビア戦でプロデビューし、積極的なドリブルから切れ込んでシュートに持ち込むなど攻撃を活性化させた。その活躍が評価され、今回のスタメン抜擢となったようだ。試合前の練習では振り幅の短い鋭いシュートをゴールに突き刺しており、さほど緊張を感じさせなかったが、いざ試合が始まってみるとそうは行かなかった。なかなか試合に入っていけない。ボールが貰えず不安になったのか、すぐにボールホルダーに寄って行くシーンが散見された。
 そんな彼を置いて試合は展開していく。前半13分。ジュリーニョが倒されて得たFKを40mという距離をものともせず、福森晃斗が冷静にゴールネットに沈めコンサドーレが先制する。「GK前でバウンドするボールを考えた。狙い通りのキックができたし、うまくジュリが邪魔してくれたのも良かった」という技有りのゴールであった。先制したことで落ち着いたかと思われた17分。右サイドCKからのサインプレー。福森からのショートコーナーをワンタッチで捌いたジュリーニョのパスが菅に渡る。狙い澄ましたというより力みまくった左足はボールを捉えることは出来なかった。とはいえボールに触れる機会が増えた彼は落ち着きを次第に取り戻し、自分が攻めるだけでなく味方を使い岡山DFを切り崩していく。特にジュリーニョとのコンビネーションは特筆すべきもので、22分の惜しくもオフサイドとなってしまったプレーは充分得点の匂いを感じさせるものであった。
 そして冒頭のプレーである。この零れ球に反応したのもジュリーニョであった。この日のジュリーニョは本調子でない都倉賢に代わり積極的にプレスを掛け、守備のスイッチを入れる役割を果たしていた。道新サンクスマッチとなったこの日、彼をMVPに選んだ誰かさんは慧眼であった。そしてラストプレー云々と叫んだあと、彼は83分までプレーし、堀米悠斗と交代した。…ぜんぜんラストじゃねぇじゃんとか言わないように。
 この試合のデータ関連がまとまってきたので目にする機会があったが、これを見ると面白いことが分かる。この試合、全体的に岡山に押されており薄氷を踏むような勝利だったと感じている方が多いだろう。確かに岡山の「ゴール前の精度」が低かったことに助けられた点は多かった。試合全体を通してのボール試合率でも、コンサドーレ43.8%に対しファジアーノは56.2%と上回っている。75分以降に限れば35.7%:64.3%となっている。だが、あれだけ押されていた後半でもシュートに限れば札幌10本に対し岡山は7本。枠内に至っては試合を通して3:1なのだ。オフサイドを4本取るなど粘り強くラインをコントロールし、精度を低くさせたDF陣の強さが光った試合と言うことが出来る。試合前に掲載した記事で、この試合のポイントについて中盤をどちらが制することができるかという点を挙げた。中盤を制したのはコンサドーレ、サイド―特に右サイドであるが―を制したのはファジアーノであった。特に田中 奏一。彼のドリブルにマッチアップした福森は手を焼いていた。左サイドの上原慎也も片山 瑛一に翻弄されており、攻撃のタクトを振るう矢島 慎也に良い様にされてしまった点は次節への改善点だ。
 次節は0勝5敗2分と低迷する石崎信弘監督率いるモンテディオ山形が相手である。勝ち点を13まで伸ばし今季最高の3位となったコンサドーレにとっては「負けられない」相手となる。ホームNDソフトスタジアム山形での2戦連続での試合となり、居残りまでしてチームの現状に不満を呈したサポーターに対して結果で改善を示したいはずだ。そうなると「さすらいのゴールハンター」大黒 将志が立ちふさがってくる。前節ではベンチスタートだったが、90分プレーするならば恐ろしい選手の一人だろう。ある種引導を渡すくらいの気持ちで臨み、勝ち点を積み上げてセレッソ大阪戦に備えたい。一刻も早くインフルエンザの猛威が去ることを祈念して、このあたりで締めくくりたいと思う。


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23:31

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VSファジアーノ岡山

2016年04月09日

 3勝3分無敗。立派な成績でコンサドーレより上位にいるファジアーノ岡山を札幌ドームに迎える。相変わらず春の岡山は強い。なぜか分からないが春先の岡山は好成績を収めている。夏前くらいからだんだんと中位に落ち着き、最終的には10位前後をうろうろしているという「印象」だ。勿論コンサドーレサポーターとして目糞鼻糞を嗤うとならないように謙虚な気持ちを持って掛からなければならない。DFラインを経験豊富な岩政 大樹が統率し、攻撃陣にはJ1で2年連続二桁ゴールを決めた実績のあるストライカー赤嶺 真吾や五輪代表で名前を売った豊川 雄太が名を連ねる。今年のファジは一味もふた味も違うぜとサポーター達は息巻いているのではないだろうか。
 とはいえコンサドーレも波に乗り切れてはいないものの、プレーオフ圏内まであと一息の7位に着けている。岡山から勝ち点3を奪うことが出来れば、順位は入れ替わるだろう。
 注目選手は彼しか居ないだろう。菅 大輝だ。コンサドーレ史上最年少でスターティングメンバーに名を連ねることになる。過大な期待が禁物であることは招承知している。だが、してしまうのだ。神田や中原が力を出し切れないなか、移ろいやすいこの気持ちが浮ついてしまうのを抑え切れない。「ミーハー」の誹りは甘んじて受けよう。だが、彼のDFを背負う体の入れ方使い方は体幹の強さを見せ付けるものであるし、切れ込みからシュートへ向かったあの積極性は停滞する前線を活気付かせるものであった。
 ファジアーノは3バックを採用する3-4-2-1システムで、中盤に人数を掛けボールを奪うことを重視している。そうなれば中盤での潰し合いがこの試合の見せ場になるだろう。寄せる相手を美しいパスワークで翻弄しゴールに迫っても良いだろう、ゴツゴツぶつかり合い勝ち得たボールをDFラインの裏に蹴りこんだって問題ない。受身にならない。これが鍵だ。どちらが主導権を持って試合を構築するか。願わくばレフェリーが無用なファールを与え、細切れのげーむにならないことを。
 「10000人のスポーツバー」へ出かける準備は出来てるか?


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12:39

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3連勝ならず、町田戦感想

2016年04月04日

 2-0.攻撃のキーマンである都倉賢とマセードを欠き、大型FWヘイスとベテラン稲本潤一をスタメンに組み入れた。その上で3ボランチから宮澤裕樹をトップ下に据えたWボランチへ変更した結果、連携不足も祟り攻守両面で機能不全を起こした。システムの変更について四方田監督は「町田のサイドハーフが中央に入ってきて中盤に5人並ぶような状況が多いので、パスの出しどころのMF李漢宰をマークするためにもダブルボランチにしてトップ下を置いた」とその意図を説明している。この変更は前半の早い時間帯には功を奏し、少ない手数からのショートカウンターで町田ゴールを脅かした。しかし「プレーのクオリティを欠き」シュートまで結びつけることができなかった。この好機を活かしきれなかったコンサドーレはじりじりとゼルビアの圧力に屈していく。
 中盤でボールを持つことが出来ず、最終ラインの増川がロングフィードで攻撃を組み立てるシーンが増えていった。このシーンは町田MF鈴木崇文の芸術的なFKが札幌ゴールを揺らしてから目立つようになった。なぜ中盤でボールキープできなくなったか。答えは簡単である。コンサドーレの2トップ、ジュリーニョとヘイスが足元でボールを貰いたがり、中盤まで顔を出すようになったからだ。その結果オフサイドライン際で競り合う選手が居なくなり、GK高原寿康への信頼感もあってか町田はDFラインを高く保つことができた。
 そもそも得点につながるFKはコンサドーレのミスで与えてしまったと私は考えている。安易に蹴り出すなとは言わないが、ゴールに近いあの位置で変にボールキープからロングフィードという色気を出すより、リスク回避のため大きく蹴り出すべきだったと思う。結果論だという批判もあるとは思うが、リスクとメリットの天秤の狭間で最良の選択をするのがDFの仕事だ。ましてGKが一歩も動けないFKを蹴らせる位置となってしまったことも反省材料だ。試合前に掲載した記事で指摘した「前半30分までにどちらがゴールを奪うか」という注目点。これが町田ゼルビアに入ったことで、試合は町田ペースに流れていく。
 ゼルビアが高いDFラインを敷いた結果、センターラインに両軍入り乱れてのボールの奪い合いとなる。ここでもう1つコンサドーレにミスマッチが起きた。彼はこう反省する。「僕もチームも少し受け身で戦いすぎた。相手を下げさせる作業が必要だった。状態をもっと上げていきたい」稲本潤一。この試合の彼は運動量が少なく、ボールを奪ってもカウンターの起点となることが出来なかった。運動量が少ないとは書いたが、彼のプレースタイルは豊富な運動量でボールを拾い潰すというものではないのは重々承知だ。だが勝ち点を積み重ねてきたここ数試合、素早く人数をかけてボールホルダーにプレスし、ボールを奪ったあとはピッチを広く使ってゴールへ迫るということが出来ていた。このプレスのタイミングが若干ズレてしまったのは、受身で戦いすぎたからだったのだろうか。
 1点を追う後半から内村圭宏と上原慎也が投入され、DFラインの裏を取る動きが増え攻撃は活性化された。だが、コンサドーレ攻撃陣の前に立ちふさがる者が居た。高原寿康である。宮澤裕樹、内村圭宏、彼らのシュートは惜しくも町田の壁に弾き返された。シュートストップに自信のある高原は、声の限りDFに指示を出し続け高いDFラインをキープさせ続けた。第2節まで顔をのぞかせていたスタミナ不足から出る陣形の間延びは改善され、失点を許すどころかDFを削りFW菅大輝を投入し攻撃に傾斜するコンサドーレの間隙を縫い、重松健太郎は追加点まで挙げて見せた。追加点の場面は言ってみればコンサドーレ守備陣の集中力の欠如が招いた失点である。深井や堀米が攻撃に軸足を置きすぎたため、ボールウォッチャーとなってしまった。あの位置から急いで戻っても決められたとは思うが、少なくともDF1人で相手攻撃陣2人を見るという2006年W杯オーストラリア戦のような無様を晒すことはなかっただろう。
 この敗戦でコンサドーレは7位に後退。首位セレッソ大阪とは勝ち点差6と広げられてしまった。これで6試合終えて勝ち点10。3勝2敗1分。またバランスのいい星取表となっている。今年も混戦模様となっているJ2だが、自動昇格の椅子は2つ。この試合で見せた連携不足がシーズン初期に見られる「よくある」連携不足ならいいのだが。次節のファジアーノ岡山、そしてセレッソ大阪と難敵がこれから待ち受けている。取りこぼしの出来る試合などないが、また一山来そうな気配だ。次の目安は10節終了後。プレーオフ圏内は確保出ていると今後の応援も身が入るのだが…。


post by kitajin26

23:08

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