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赤と黒のギャロップ 第1回エイシンマエシュン

2014年05月08日

前田がゴール左から斬り込む。
キーパーと1対1だ。ゴールを確信する。

「マエシュン!マエシュン!!」

GoooooooooooooooooooAL!!!

この快感が忘れられなくて、人々はスタジアムに通う。
ゴールは麻薬だ。
前回はノーゴール、スコアレスだったので尚更効く。

ちょっと待て。この感覚、何かに似ていないか。

あれだ…。
4コーナーから大外を回ってくる差し馬。
直線に入り1頭2頭と抜いていく。
男はその馬の単勝馬券を持っている。「来い!」そう心でつぶやき、
最後の直線で叫ぶタイミングをうかがう。
ゴール前1ハロン。
ついに逃げ馬の後ろに迫る。ゴール板まで残り数十メートル。
「よし!」そう一声出すと、男はエンジン全開に叫び始める。
「差せ!差せ!!差せ!!!」
男の馬はゴール直前で逃げ馬を捉えついに差し切った。

男は「よし」と拳を握る。

マエシュンこと前田俊介は、競馬のゴール前感覚を味わわせてくれる数少ない選手だ。
「エイシンフラッシュ」というG1馬は、騎手が赤と黒の縦縞の勝負服を着たり、馬が赤と黒の縦縞のメンコを被ることから、男は親近感を持っていた。

凡走するかと思えば激走したりするので、買いにくい馬ではあったが、前田俊介はまさにこの馬のように、たまに見せる「閃光」が心地いい余韻を残すのだ。

男は、前田のことを密かにこう呼ぶ。
「エイシンマエシュン」と。






post by odo5312

06:57

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