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2015年03月06日
Jリーグが各クラブに支給している配分金の仕組みを見直すらしい。 昨年11月くらいから議論を始めて、先日の委員会で結論が出たようだ。
参考記事 Jリーグ配分金割合の見直し決定!でも入場者数項目だけ廃案。札幌の配分金は減る?
2013年時点での配分金の最大と最少を比較すると、 J1だと、浦和258百万円:湘南 191百万円⇒1.35倍の差 J2だと、鳥取112百万円:東京V 89百万円⇒1.25倍の差 となっている。 (ちなみに札幌は103百万円でJ2では上から4番目に多い) これは世界的に見ても非常に小さい差であり、 差が小さいと言われるイングランド・プレミアリーグの1.6倍や、 ドイツ・ブンデスリーガの2.1倍よりもはるかに小さい差分と言える。 これらのリーグと比べて配分金の総額が圧倒的に小さいことも一因といえる。 (数値は毎年変動するので目安ということで。でも国ごとの傾向は変わらない) ちなみに、世界最大の配分金格差を持つリーグと言えそうなのが、 スペイン・リーガエスパニョーラで11倍以上。 放映権収入の約半分が2チームに配分されるという歪なリーグになっています。 (年々是正されつつありますがそれでも3分の1が2強へ) 2強が牽引してリーグ収入が飛躍的に伸びて、 その恩恵をリーグ全体に行き渡るのであればよいのですが、 一定の水準までは配分されるものの、収入の多くは結局2強どまりであり、 リーグの価値を落とす事態になっています。 (リーガ・エスパニョーラを見るのではなく、バルサとレアルを見るという考え) スペインはさすがにやりすぎな例ですが、 リーグの価値向上や収入増に貢献しているクラブには、 その貢献度を評価して分配するべきであり、 それがなければ、クラブはリーグ価値向上に協力するメリットは減りますから、 自クラブだけの価値向上を図ろうとするのがオチです。 Jリーグは現在でもリーグ価値向上に貢献するクラブ(具体的には放映権収入への貢献など)には インセンティブとして多く分配されています。 クラブの価値とリーグの価値、このバランスをどう捉えて、 リーグ全体がさらに成長するにはどうすべきかが、配分金の議論のポイントになります。 配分金を均等にすると競技力の平準化が保たれて、 同じチームばかりが優勝するというようなつまらない展開は避けられるといえます。 また、J1昇格を目指したり、J1経験クラブが増えることで、 零細クラブが中小クラブに成長する効果があったでしょう。 (今のJリーグはこちらに寄っている。現時点でも配分金に差はあるけれど) これに対し、リーグの配分金を強豪クラブ(例えばACLに出るクラブ)に多く投資することで、 対外的なインパクトを強め、市場を拡大しようとする意図があるといえます。 1つ注意が必要なのは、親会社が投資額を増やすのではなく、リーグが後押しするという考え。 成長する見込みのない限られた予算の中からどこかを削って、どこに投資するのかを 過去にないくらい議論があったでしょう。(JsGoalも削られたし) 成長し続けてさえいれば「どこかを削る」という発想は要らなかったかもしれません。 配分方法をどっちに偏らせるのがよいか、ではなく、 そのバランス調整をしようというのが今回の議論です。 なので「格差拡大」という言葉は、適切とは言えません。 なお私の見解として、配分金の最大と最少の差は、 比率で言えば最大で2倍差 金額で言えば最大5億円差が限界かなと。 それを超えてしまうと、さすがに広がりすぎかな。 この5億円というのは、2013年にチーム人件費15億円弱の広島が、 20億円を超えるクラブを食って優勝したことに由来します。 J1で最低14億円あれば、その差が5億円くらい開いていても、優勝に手が届いてしまうのかと。 ちなみに、各クラブへの分配金が平均50億円程度か、平均2億円程度かで考え方は変わると思うので、 比率と金額で示しています。 ちなみに今の配分金比率でも不公平だと思う方がいるかもしれませんが、 そうするとリーグの価値向上に大いに貢献してる札幌の分配金が 減っちゃうけどいいんでしょうか? 長くなってきたので、つづく? 。
2015年03月06日
昨年末から見直しを検討していたJリーグから各クラブへ分配される配分金。 私がいろいろ述べる前に、この件について触れてるメディアの記事を紹介します。
■スポニチ http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/02/24/kiji/K20150224009864580.html Jリーグ理事会 分配金割合の見直し案は廃案に Jリーグの村井満チェアマンは理事会後の会見で各クラブ入場者の実績によって リーグからの配分金の割合を見直す案について「検討を打ち切った。廃案にする」と明かした。 総入場者数や入場者の伸び率、収容率、アウェーでの動員などを一律にルール化して 単純な係数にすることが困難と判断した。 放送権料への貢献やリーグスポンサーへの営業協力、今季の成績に応じた傾斜配分は実施する。 リーグは昨年末、横並びだった配分方式を成果によって傾斜を強める方針を固めていた。 ⇒これ、誤解を生む表現をしてるあたり、さすがスポニチって感じですが、 「横並びだった配分方式を」って誤りですね。 以前から横並びではなく、インセンティブが付加されてます。 しかもこれ、スポニチの記事ではなく、共同通信のを一部使ってます。 最近のスポ新なんて、こんなもんです。 ■サンスポ http://www.sanspo.com/soccer/news/20150217/jle15021719200005-n1.html 一部クラブから強い反対…委員会で配分金議論もまとまらず Jリーグは17日のJ1、J2合同実行委員会で、 ホームゲームの入場実績でクラブへの配分金の額を決める案を議論したが、まとまらなかった。 総入場者数や前年からの入場者伸び率、収容率などに応じて配分割合を見直す提案に、 一部クラブから強い反対があった。 リーグは昨年末、横並びだった配分方式について成果によって傾斜を強める方針を固めた。 人気と実力を兼ね、活性化の核となるクラブを育成する狙いだが、格差拡大を懸念する声もある。 委員会ではプレシーズンの新設大会「スカパー! ニューイヤー・カップ」の報告や 新規実行委員の紹介もあった。(共同) ⇒サンスポも共同通信からですね。 なので、スポニチ同様「横並びだった配分方式」なんて表現してます。 ■時事通信 http://www.jiji.com/jc/c?g=spo&k=2015022300780 また、村井満チェアマンは今季から導入するクラブへの配分金に差をつける新制度で、 四つの査定項目のうち入場者数を除外したことを明らかにした。 明確な基準作りが困難で、J1とJ2の合同実行委員会でも異論が出た。 成績の他、スポンサー、放送権の貢献度を基準に傾斜配分する。 (2015/02/23-20:31) ⇒こっちは特に誤りなし。 あくまで入場者数を基準にする項目は除外と言っている。 時事通信は、余計なこと言わずに、最低限必要な事実のみ提供してます。 他のメディアも載っていた気がしますが、調べる手間が面倒なのでこの辺で。
さて、これらを読んでどう感じましたか? スポーツ新聞の取材記者の苦悩を知っていれば「しょうがないよね」って思いますが なぜこういう記事になったのかを考えずに、記事のクオリティのみで捉えたら、 村井チェアマンが伝えたいことが正しく伝わってないとか、 記事自体のクオリティが低いと捉えられてしまいかねません。 でも昨今のスポーツ新聞は「売れるための記事」を書くことにとらわれすぎて、 スキャンダルやセンセーショナルな記事を前面に出してきます。 まあ、その方が売れるのは事実なのですが。 当然、売れる記事のネタになるところに経費をかける(取材記者を多くあてる)し、 売れない記事は取材に力を入れず通信社の記事を掲載して終わりにする。 「・・・とスペイン○○○紙が報じた」なんてのは、他社記事転載してるだけだし。 いつからか忘れましたが、字が大きくなって、記事量も減ったはず。 これが1紙1日130~150円くらいで売ってるわけです。
翻って、チャオコンは月300円。1日当たり約10円です。 キャンプ情報やシーズン中の練習レポート、 その他のたまに更新されるコンテンツを見るために1日10円。 1日10円で元が取れてると思うか、 金取ってるんだからもっと良くしろって思うかは、 個人差の世界ですから言及しませんが、 1日10円のモバイルコンテンツで商売になる時代ではなくなっているということは、 ご理解いただきたいなと思います。 営業妨害のごとく、速報やら情報やらを発信するSNSやらブログがたくさんありますから。
脱線しすぎしました。本題に戻ります。 Jリーグが検討していた分配金の配分制度ですが、 以下の4つの基準によって傾斜配分するというものでした。 ○成績 ○リーグスポンサーへの営業協力 ○放送権料の貢献度 ×入場者数(総入場者数や入場者の伸び率、収容率、アウェーでの動員など) 入場者数については、少し考えればわかりますが、 ホームタウンの人口、市場規模、クラブの歴史、スタジアム規模、立地などなど、 クラブごとに条件が異なりすぎて、どのクラブがリーグ価値向上に貢献してるかを 一律の基準で評価するのはとてつもなく難しいです。 なので、廃案になったのは当然の結果といえますが、これを議論の土俵に挙げて、 何が問題なのかを各クラブの意見としてまとめて、記録したことは評価できます。 そうしないと、同じ議論をあっちこっちで繰り広げて無駄な時間を費やしますから。 成績、スポンサー、放送権料の傾斜配分の計算式は表に出てこないでしょう。 (出てきても理解できる人が少なくて議論が的外れになるので出さなくていい) というわけで、現状の傾斜配分によって、どのくらいの「格差」があり、 札幌はどのくらいの位置づけなのかをサラっとまとめました。 2013年のJリーグ経営情報開示資料から配分金の最大と最少を比較すると、 J1だと、浦和258百万円:湘南 191百万円⇒1.35倍の差 J2だと、鳥取112百万円:東京V 89百万円⇒1.25倍の差 となっている。 札幌は103百万円でJ2では上から4番目に多い。 2013年と言えば、リーグスポンサーや僅かながら放映権料の貢献が大きい年でしたから、 J2でも配分金が多い部類に入ったと言えます。 2014年もそれは継続してますし、その辺はうまいことWakuWaku Japanを 札幌のパートナーに向かい入れたことでも、感じ取ることができると思います。 なので 傾斜配分をやめて一律同じ配分金にする⇒札幌の配分金は減る 傾斜配分を強める⇒札幌の配分金は少し増えそう という風に捉えています。 とはいえ、傾斜配分が最少と最大で3~10倍差がつくといったことになれば 「格差ありすぎ」と思いますが、2倍以下なら、そうでもないなあというのが 私個人の感想。 ちなみに配分金を一律同じにするのって、不公平ですよね。 リーグスポンサーや放映権料の貢献してるのに、インセンティブがないなんて、 リーグの価値向上に協力する気が失せます。 というわけで、配分金の傾斜がどのくらい差が出るのか注目しつつ、 大げさな差が出なければ、まあいいやってのが、今回の結論でした。 おわり。
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