試合のとき、私が座っている位置からは、
サブの選手たちが良く見える。


ベンチに座って声を出していたり。

試合を気にしながらアップしていたり。

得点シーンでは、みんなで輪になってピョンピョン飛び跳ねてみたり。

得点後、雄たけびをあげながらベンチにやってくる選手を抱えあげたり。

ハーフタイム練習に出て行くときには、前半戦った選手たちに慰労の握手をしたり。

ハーフタイム練習が終わるときには、後半に向かう選手たち1人1人に声をかけ、ガシッと肩をぶつけたり。

アップのテンポが上がったと思ったら、呼ばれて、ビブスを脱ぐのももどかしげにベンチに向かったり。

交替枠が使い果たされたあと、ベンチに戻る足取りがちょっと重かったり。

それでも、ベンチから大きな声を出していたり。



徳島戦。

試合開始後、ゆうやんは、他のメンバーよりちょっと遅れてベンチに戻って来た。

一番端に座って試合を見ていた。


そして、高原選手の×印。


すぐさま、緑のユニを着た。

靴ひもを縛るのにちょっと手間取った。

手袋を手に立ち上がった。

赤池コーチの言葉にうなづいた。

担架の上の高原選手の手を握った。

そして、駆け足でピッチに入って行った。


「ゆうやん！
　頼むよ～～！」

とその背中に祈った。


ハーフタイム。
サブ組のためのボールが待ちきれないかのように、
すぐに、体を動かしていたゆうやん。




セットプレイのときには
「飛び出したら、（ボールに）触るんだよ・・」と叫び、

キックのときには
「そのままゴール狙っていいよ～～！」と叫び、

ゆうやんの無失点を願った。


試合終了の笛がなったとき、

ひざから折れて、頭をピッチにつけて、

立ち上がれないゆうやんがいた。




先発する選手。

ベンチにいる選手。

スタンドから見ている選手。


それぞれが、それぞれに、

このチームの勝利のためを思っている。